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2013/06/01 古 >>
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「秋味」(キリン)
何年も会っていなかった友達が死にかけているという連絡を貰ったのはつい数日前のことだ。何年も会っていなかったが会っていた時間もそれほどない。知り合ったけどすぐ音信不通になってしまった、そんな仲だ。それでも共通の友達から連絡を貰った。 会ったときの……声や姿を思い出せたら会いに行こう。私は目を閉じた。
夏の暑い日だった。飛行機と電車とタクシーを乗り継いで辿り着いたそこには別人のようになってしまったその人がいた。 お久し振りです。何を話せば良いのか分からなかった。何でも話せば良いのだ。それなのに。
二度目の秋が近付いている。私は何を思ってあの人のもとへ行ったのだろう。あれから私は何が変わった? 何も変わらない。去年も私は「秋味」を飲んだだろうか?
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