index > たのしい遊園地 > びわ湖タワー (2001/08/31) |
「びわ湖タワー」など記憶の片隅に残っているかどうかという存在だったのだが とあるお方に勧められなんとなく行ってみることにした。 何時行こうかと思い、まずインターネットで調べてみるとこのような情報が。 「びわ湖タワーが8月末日で閉園になる」 末日だ。最後の日に行こう。 びわ湖タワーが終わりゆく姿をこの目で見届けよう。 8月31日。 私は連れと堅田へ向かった。 堅田駅を降りてすぐに廃パチンコ屋を発見。 なんと幸先の良いスタート。 店内は片付けられているようだ。 営業していたときのまま放置、というのが理想だが。 アルバイト募集。応募してみては? 儲かられすぎたのだろうか? それはともかく今日の目的はびわ湖タワーなのである。 同じところへ行くらしい小学生を発見したので後をついて歩いた。 小学生の案内? で迷うことなくびわ湖タワーに到着した。 そこで私たちを出迎えたのは巨大なロボットだった。 イェンタウンの守護神がファック・ザワなら、びわ湖タワーの守護神はコイツなのだろうか。 竜だ。巨大な竜がびわ湖タワーを守っている。 そして左側の塔がびわ湖タワー本体なのだろうか? びわ湖タワー内部に入る。入場料は無料だ。 びわ湖「タワー」などという名称だが、遊園地なのである。 小さい、限りなく小さい。 小さい面積に無理やり詰め込んだ遊具。 そして総てが古臭い。 まさに田舎の遊園地だ。 廃墟になる理由がわかったような気がした。 最高に素敵。 観覧車が2つ。 なんというスケールの違い。 射的場にあった看板。 よく夜店にあるような景品を並べただけの射的ではなく、ウェスタン風の舞台が組まれている。 「何発でも打てます 15発」 「的に当たると怪音がでます」 などのでたらめな説明が良い。 怪音。すごい響きだ。 少し歩くとゲームコーナーを発見。 エレメカの多いゲームコーナーは遊園地にはつきものである。 入ってみると…… なんと、見たこともないミスタードリラーが! この巨大なスティックは昔のファミコンマンガであったようなアレだろうか? ボタンは足で踏む。そして巨大なスティックでススム君を操作する。 私も遊んでみたが、かなり疲れる。汗だくになる。 そして難易度倍増。 孤高のポップコーン売り、ポップジョッキーさん。 明日から失業の予定。しかしそれでも最後まで手を振り続ける姿が涙を誘う。 彼は自らの仕事に誇りをもっているのだ。 鯉の泳ぐ堀? もあるのだが、この鯉は明日からどうなるのか。 びわ湖タワーには数箇所のゲームコーナーが存在する。 普通のゲームセンターでは見ることの出来ないレトロなエレメカが多い。 びわ湖タワーはエレメカの国だ。 しかし、このエレメカたちは明日からどうなるのか。 廃棄処分? 惜しい、あまりに惜しい。 このエレメカたちは全宇宙の財産である。 ちなみに「蛸の応援団」の右にあるのは「山のぼりゲーム」。 障害を避けつつボタンを押して登山家を頂上まで歩かせるゲームなのだが意外に難しい。そして面白い。 熱い、総てが熱い。 びわ湖タワーが一般人に誇れる唯一の目玉、大観覧車イーゴス108である。 閉園ということで無料開放されていた。 30分ほど並び、搭乗。 普段の待ち時間は何分くらいだったのだろう。 さすが大観覧車だけあって眺めは抜群である。 琵琶湖と山々が美しい。 ちなみに、イーゴスという名前の由来は何なのか? それは…… すご〜いすご〜いすご〜いイーゴス! 今日の客層は大半が家族連れだが、たまに、カップルや廃墟ファンらしい人の姿も見える。 デートスポットにするようなところか疑問であるが、最後だしということで遊びに来たのであろう。 そしてカップル向けの遊具がこれ。逆バンびわ湖。 ペアシートがパチンコの要領で宙に放り出されるのである。 空中で縦回転するペアシートを見るとかなりゾッとするが、 吊り橋効果で恋が芽生えたり愛が深まったりするのは間違いないという学説。 小さくてわかりにくいが、奥にある建物の左上あたりに見える横線が人間なのである。 数十メートルのロープで宙吊りにされ、180度近くまで揺らされるという遊具。 縦回転しないだけ先のペアシートよりマシだと思うがそれでも怖そう。 ちなみに、びわ湖タワーにはバンジージャンプ系の空中遊具が4つ存在する。 総てを体験しようと思えば1万円ほどの費用が必要だが、それでも制覇した者は存在するのだろう。 びわ湖タワーはバンジーの国だ。 外へ出てびわ湖タワー客で賑わうファミリーレストランで食事をした。 びわ湖タワー亡き後、このレストランはどうなってしまうのか。 日が暮れてきた。 びわ湖タワーに残された時間は少ない。 歴史が、一つ終わろうとしているのだ。 そして私はその瞬間に立ち会っている。 イーゴスに総てを奪われた観覧車。 最後だというのに乗る者は少ない。 いや、大半の客はイーゴスなのである。 総ての足はイーゴスへ向かう。 哀しい、あまりにも哀しい。 最後の客。 少し高い空から終わりゆくびわ湖タワーを眺めつつ何を想ったのだろう。 遊具に布が被せられていく。 長い間人々を楽しませていた遊具は、もう動くことはない。 総てが終わりへと近付いていく。 びわ湖タワーが誇る面白遊具、それが「急流すべり」である。 ボートに乗って流れるプールを進んでいくだけなのだが、 水に浮き、流されている感覚や、最後の急角度が最高に楽しい。 「一度乗ってみたかったんだ、びわ湖タワーの急流すべり」 若い娘がそう言いながらボートに乗り込んだ。 びわ湖タワーの急流すべりはメジャーだったのだろうか。 しかし、なんといういい人。 ボートを降りた彼女は実に満足そうな顔をしていた。 残り時間が少ない。 電源を落とされたエレメカたち。 どこか他の場所で第二の人生を歩むのだろうか、 ここに放置されるのだろうか、 それとも……。 びわ湖タワーでは、もう動かない。 -30度に耐えられるか? 謎の冷凍庫。 本当に-30度だったのだろうか? もう、誰にも確かめられない。 幼児用の急流すべり。 チープな小屋でペンギンが迎えてくれる。 しかし、もう誰も迎えない。 人々の夢を乗せて走り続けてきたメリーゴーランド。 もう、回らない。 終末を告げる看板。 最後の後片付けをする従業員。 終わるのだ、総てが終わるのだ。 休憩所の椅子に座り、びわ湖タワーが夜に包まれていく時間に身を任せていた。 本当に、今この瞬間、私の目の前で歴史が終わろうとしているのだ。 今日、ここに来れたことを光栄に想う。 激流はもう呼ばない。 しかし、もしも数年後この場所が残っているなら、 そのときまた来てみたい。 最後の日だからといって特別なセレモニーを行うわけでもなく、 まるで明日も営業するかのようにびわ湖タワーは閉園した。 総ては、静かに消えゆく。 |
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