index > 素敵な廃墟 > チェルノブイリ日記 > 05 |
■ そこに何があるわけでもないんだけど 暗い階段を下りて地上に出て、建物の裏側に回りました。裏側に大きな出入り口があり、その中にも何かが広がっているのですが暗くてよく分かりません。ここは何のフロアになる予定だったのか? 出入り口や窓から射し込む僅かな光を頼りに進みます。 どうやら2階もあるようで……限りなく垂直に近い階段が! ハシゴではなくかろうじて階段です。なんかもうハシゴの定義って? 階段の定義って? と言いたくなりますが。 先程のハシゴに比べると楽に上れるのですが上った先はまた真っ暗の穴だらけで……。 「ワッチ ユア ステップ」耳にタコが出来るほど聞かされたフレーズです。えぇもう落ちたら死にますよきっと。何やらヤバそうな水も溜まってますし! フラッシュを焚いて写真を撮り、一瞬見えた室内の様子を頼りに足を進めます。ねぇこれ何が楽しいの。 しかも日本に帰ってから写真を見ると天井から裸電球を吊るすらしき照明がいくつか確認出来ました。これって現役当時から相当暗かったんじゃないの。 穴だらけの2階を適当にうろつき、1階に戻りました。入って来た出入り口から真っ直ぐ進んだところに光が見えます。 ■ 耳が痛くなる静寂 光の方へ歩いてみると、そこには貯水池がありました……ヤバい水、なんやろなぁ。知らんけど。何がどうなったのか真っ二つに折れた巨大なクレーンも佇んでいます。 赤黒く錆びた建物と真っ二つに折れたクレーン、ヤバい水。周りの木々は黄色く染まっています……美しい。 我々の足音やシャッターを切る音しか聞こえない、耳が痛くなる静寂。朽ち切ることも出来ず、ただ朽ちていくだけの建物、クレーン、それらを映し出すヤバい水面。 美しい。哀しい場所なのに何故これほど美しいのか。 3人で憑りつかれたようにシャッターを切り続けました。しかしお前たちそれって公私混同じゃないの? と思いましたが目を瞑ることにします。 見上げるガイド。視線の先には何があったのか……。 前へ 次へ |
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