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金網越しに

兵庫県神戸市東灘区にある新神戸大プール。

夏になると多くの人たちが水と戯れに足を運んだ場所なのですが
1995年の阪神淡路大震災で多大な被害を受け
現在は金網と緑に囲まれた孤独の地になっています。

しかし聞くところによると1995年の夏は営業をしていたそうなのですけど本当なのでしょうか?

不思議に思いインターネットで調べてみると、
プールを壊して仮設住宅にしたとかいう話を見つけました。
こんな中に仮設住宅を建てるのでしょうか?

本当のところ、ここで何があったのでしょう。


入り口

入り口。
緑が人の来訪を拒んでいます。

私もビーチサンダルの足でここを通ったものです。
といっても、もう何年も前のことなので中がどんな風になっていたのかという記憶は薄れています。

看板のアップ。



誰も話さない

かつてはここから
「今から帰る」
と自宅に連絡を入れる人が居たのでしょう。

金網の外にあるということは今でも通じるのでしょうか。
確認しませんでしたが。


哀愁レストラン

敷地の外側にある店。
震災前はこんな店があるなんて知らなかったのですが(忘れているだけかも?)
一年ほど前にこの近くへ来たときに見付けました。

そのときは扉は閉まっていたと思うのですが、
なんと今は開いているではないか!

誰か中に居るのか?
不良高校生が入り込んだのか?
それとも私と同じ廃墟ファンが?

営業中

よく見れば「営業中」と書かれた看板(?)が出ています。
妙にアーティスティックですがこれは元々なのでしょうか
誰かがスプレーか何かで落描きしたのでしょうか。

植木鉢の中にあるものが枯れていないところを見ると、もしや本当に……。

薄暗い

恐る恐る中へ入ってみると
廃墟独特の、空気のこもった臭いが出迎えてくれます。
人は居ません。

誰を待つのか

明るく見えますが、それはフラッシュのおかげでして、実際は暗いです。
夕方になると誰かが電灯を点けに来るのでしょうか?

電灯や空調は動いていないのですが
なんと自販機には電気が通っています。
画面には写っていませんがわりと最近に発売されたジュースが売られていることからしても
ここは現役で営業中なようです。

しかしレストランといっても自販機が置いてあるだけの無人休憩所です。
が、お世辞にも綺麗とは言えませんし、
外から見て営業しているとは思えませんし、
人通りの多い場所ではありませんし、
住宅地でもありませんし、
いったい誰が休憩しに来るのでしょう?
近所にある高校の生徒が寄るのでしょうか?

カウンターのあたりに「DEAR BOYS」という漫画単行本(たしかそんな名前だった)や
2000年のマガジンなどが置かれていました。
乱暴に放り出されているのではなく、きちんと棚の中に入っていました。

トイレもあったのですが、怖くて扉を開けることが出来ませんでした。
虫が出てきたら私は泣きます。


浮輪と水着

なんとこの店には大きなガラス窓があり、
そこから敷地の中を見ることが出来ました。
ガラスが割れていれば迷うことなく中へ入ったのですが
自分でガラスを割って入る度胸はありません。
一応は営業中ですしね。


しかし、フジフイルムはともかく浮輪や水着なんて現地で調達するようなものか?
水着を持たずにプールへ行く人は挙手をお願いします。


わずかに見える

かつてこの休憩所で、泳ぎ疲れた男が煙草をふかしつつ
水着の娘(しかも水に濡れてる)を眺めたりしていたのでしょう。
なんとステキな休憩所なのか。
でもちょっと見晴らしが良くないね。プールそのものはほとんど見えませんし。
さっきのフジフイルムの店に来た水着の娘(しかも水に濡れてる)の後姿を眺めるくらいでしょうか。
髪の濡れ具合なんかもよくわかったのかしらん。どきどき。


どっちにしろ、水着の娘(しかも水に濡れてる)が窓の向こうを歩くことは、もうない。



ぼろぼろ

ボロボロです。裸足で歩く気にはなれません。
電線? に垂れ下がった布が引き裂かれたようにボロボロの姿になっていますが
これは自然の力でこうなったのでしょうか?
そうだとするとなんとも恐ろしい。



インターネットで調べたところ、芸能人を呼んでイベントを行うことがあったようです。
言われてみれば、新聞の折り込み広告にイベント予定が掲載されていたような気がする。

しかし、そんなイベントを行えるようなステージがあったか?


……あったような気もするが、かなり小さなステージだったろう。



でぐち

あんなイルカ(?)あったか?


それはともかく、小さくて見えにくいですけど時計は01時45分か02時45分あたりで止まっています。
きっとその時間に、この新神戸大プールに流れる電気が止まったのでしょうけど
その人はどんな気持ちで電気を止めたのでしょう。

そして、
このプールの最終営業日(となってしまった日?)は
どのような日だったのでしょう。
人々はどのような想いでこのプールを後にしたのでしょう。
まさか、今日を最後に時が止まってしまうなんて誰も思わなかっただろう。




あぁ、中に入ってみたい。
水が干上がったプールを歩いてみたい。
水着の娘(しかも水に濡れてる)が髪を乾かしていた更衣室を覗いてみたい(変態)。

……ガラス窓が憎い。




そういやここには監視カメラがあって、
今でも侵入者を見張っているという話も聞いたことがあるのですけど
本当なのでしょうか。




お帰りはこちら

場所は変わって、最初の入り口近くにある出口。

満足そうな顔をした人や
遊び足りない顔をした人が
ここから町へと出て行ったのですが、
もう誰も出て行くことはありません。




さぁ帰ろうと思ったとき、近所にある高校の生徒が歩いて来ました。
ここは通学路なのです。
1995年や1996年にその高校へ入学した生徒は
このプールが緑に侵されていく様子を目に焼き付けたのだろうか?

ちょっと羨ましい。
でも駅から遠い。











追記。


インターネットで調べていた際、このプールの電話番号を見付けたので電話をかけてみました。
念のため、最初に「184」と押してからダイヤルしました。





「プルルルル……プルルルル……」



なんと繋がります。





「はい、新神戸大プールです」



中年の男の声。
かなりドキッとしましたが、ただのテープでした。



「阪神淡路大震災で被害を受けたため今年の営業は中止します」


といった内容の、ほんの数秒のアナウンス。




新神戸大プールが人々の記憶から忘れ去られても、
このテープは今年の営業中止をアナウンスし続けるのだろう。



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