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2013/04/01 古 >>
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「復刻ラガー <明治>」「復刻ラガー <大正>」(キリン)
ちょうど一年前のその頃、僕はまだ隣にいた彼女と「明治」と「大正」を飲んでいた。
「苦みが効いた重厚で調和のとれた味わい」の明治、「苦みにコクと芳醇さが加わった味わい」の大正。もちろん当時のビールなんて飲んだことはないし、そもそも生まれてさえもいない。 決して身をもっては知ることの出来ない時代に想いを馳せながら僕たちは明治と大正を飲み比べた。
「こっちの方が濃くて美味しいね」
ビールの味が分かるようになって来た彼女が得意げに言ったのは明治だったか大正だったか。
あれほど好きだと思っていた彼女の顔や声、唇の温もりさえももう記憶から消えかかっている。彼女の存在を思い返す日もほとんどなくなってしまった。
今年は独りで明治と大正を飲み比べる。独りで二本を飲むのは少し多いな……。
懐かしい苦味がいつまでも舌に残った。とても、心地の良い苦味だった。
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