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2015/03/01 古 >>
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「ベル・ビュー・クリーク」(ベルギー)
ビールの世界が奥深いものであると知った頃に出会った彼女が初めてのデートで手土産として持って来てくれたのが瓶の「ベル・ビュー・クリーク」だった。私はチョコレート風味のビールを彼女にプレゼントした。 外国のビールではあるが日本では知られていて……当時は初めて飲んだのだが……その甘酸っぱい味わいにビールの世界の奥深さを改めて感じたものだった。
春から始まった彼女との付き合いは決して甘いものにはならず、彼女のして来たことを知れば知るほど私は打ちのめされていったのだった。私の告白の返事を何ヶ月も保留したのは彼女なりの優しさと真面目さだったのだろうと今なら思える。気持ちを騙しながらの付き合いは長く続かず、二度目の春を迎えることなく終わりを迎えた。
それからどれだけの春が過ぎただろうか。懐かしいビールを缶で見付けた。 プルタブを開け、グラスに注ぐ。肺いっぱいに香りを吸い込む。懐かしい香り。春が、そこまで近付いている。
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